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詩の荒野より

杉浦,康平(designer)

1975

技法
Technique
四六上製, 2C
種別
Category
特定蒐集 _杉浦康平装幀コレクション _装幀
編著者名
Author
清水昶著
出版事項
Publisher, Publication date
小沢書店, 1975
登録番号
Assesion Number
解説
Commentary
汚れを防ぐ目的で、本に巻きつくカバー。一枚のカバーは、表・背・裏と続き、左右に両袖がついて、一つながりの空間を形づくる。ふつう、平積みの本では表紙側が、棚ざしの本では背側が眼に留まる面となる。表と背は別々に自立し、分離して考えられる。内側に折りこまれた袖は、外からは見えない面である。
杉浦デザインでは、「背から表紙、袖にかけて」を一つながりの空間ととらえるデザインが、いくつとなく見いだされる。背にはじまる文章が表紙・袖へと連続してゆき、視線の動きに誘導されて、思わず表紙をめくってしまう。
本の立体性・三次元性を残しながら、なお、カバー空間を連続体としてとらえようとする試み。
『詩の荒野より』と『夜動く』は、カバーからソデ、オモテ表紙、背、ウラ表紙まで、ぐるりと文章がつながっている。本の内容を説明する惹句は、ふつう表1なり表4に入るのだが、エンドレスに文字が円環することで、「書物各部の領域の溶解」を意図した試みとして注目される。

四、脈動する本
カバー表紙|(表紙―背―裏表紙)テキスト+詩