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ぶっちんごまの女

杉浦,康平(designer)

1985/10

技法
Technique
A5上製, 5C
種別
Category
特定蒐集 _杉浦康平装幀コレクション _装幀
編著者名
Author
斎藤真一著
出版事項
Publisher, Publication date
角川書店, 1985.10
ISBN/ISSN 4048831828
登録番号
Assesion Number
解説
Commentary
一枚の街の風景を円環させ、一冊の本を包みあげる試み……。
カバーの肖像は、初々しくも艶やかな太夫となった祖母の、若き日の姿。画家である著者自身が描いたもの。
回りを銀色のアミで覆い、本文も銀色インクにスミを20%ほど混ぜた、うす光りするインクを採用。エッジに滲む銀刷りは古い銀板写真の風情を伝えて、この本全体に、古風な時代の縁取りをあたえている。
画家・斎藤真一は、吉原遊郭の太夫として生きた祖母の思い出話を母から聞き、その情景を一連の絵画シリーズとして描きだした。さらに斎藤は、母の話を一つの物語に編み、この本に結実させた。「なつかしさ」に満ちた明治の吉原は、画家自身の世界へと昇華した。
表紙から見返しをへて小口へと連続し、再び表紙へと回帰する「吉原の街頭風景」は、斎藤がこの本のために描き下ろしたもの。周到な計算のもとに、各面へと微妙にずらされ、配置されて、物語の背景をなす時代と空間を演出している。小口に絵を出現させる試みの全的展開である。
風景の連続性と円環性を主題とした、脈動する本の代表例。

協力=赤崎正一

四、脈動する本
カバー表紙|(表紙―背―裏表紙)風景を連続(円環)させる